十六夜。
■ いさよい、と読む。名月の翌夜の月を言う。満月よりも出がすこし遅れるので、ためらうの意「猶予」(いさよふ)を当てる。
■ 電話をしようと思いながら何時も果たさない。
余計な心配を掛けるかも知れないといぶかるのが一番の理由だ。
とりとめのない話をしながら、相手の思惑を探るのは楽しい。
■ 秋の燈にはひとなつかしさがある。
坂を昇りながら、見上げると遠いマンションの窓に人影が見えた。
それはすぐに消えたのだが、長いスカートを履いていたように思えた。
宵闇の長さと暗さをおもう心には、夜ごとに月を待ち月をめでた心持が込められている。